はじめに

10年ほど前、PCのデータが多く消えてしまったことがあります。
家を数日空けた後、家に戻ると何やら
ピー、ガコン、ガコン、
PCから異音が発生しています。
そして何故かBIOS起動直後に再起動。そして無限再起動ループ地獄。
ここ数日、機械的に再起動を繰り返していたであろう我がPCに、
「よく頑張ったね、もう休んで良いよ」
そう言葉をかけて電源を抜いたのでした。

しかし、ダメージは思いのほか重く、電源、マザーボードは故障、
ハードディスクは認識はするものの、ファイルシステムが壊れている状態。
データサルベージである程度は復活したものの、データバックアップの重要性を
改めて感じた若き日の出来事でした。

その後データはRAIDのNASに保存するようにしました。
そのとき購入したのが黒サングラスが格好いい、
玄人志向のKURO-BOX T4という機種でした。

OSに自由にカスタマイズ可能なDebianを採用したNASです。
aptなんとかも動きます。
↓これです。

mdadmを使い、HDD4台を使ったRAID5を構成していました。
しかし、導入から10年、老朽化のほか下記理由でNASを買い替えることにしました。

  • RAID5は心配
    以前、仕事でRAID5を使ってました。見事に壊れました。
    RAID5は1台壊れても大丈夫、2台壊れたら修復不能というRAIDです。
    しかし、意外と2台壊れ、全データが消えます。安全安心じゃないです。理由としては、
    • 同時期に買った同じ型番のものは同時期に壊れる
    • 再構築時に壊れやすい。
      1台壊れた場合、HDDを交換して再構築が必要です。このとき、全データにアクセスするため負荷がかかり、HDDが壊れやすいです。再構築中は1台でも壊れるとファイルシステムが壊れます。つまり、4台のRAID5だと再構築中の3台のうち1台でも壊れると再構築に失敗します。一方、RAID1の場合はコピー元のHDD 1台が壊れなければOKです。そのため再構築中の故障率はRAID1より3倍高いといえます。
    • 故障時のデータ復旧が難しい。
      ファイルシステムが壊れた時、RAID1はある程度データサルベージが可能ですが、RAID5はHDD分散されているため復旧は難しいです。
  • CPUがビッグエンディアン
    CPUはPowerPC、そしてビッグエンディアンです。
    HWが壊れた場合、PCでmdamdを実行し、再構築を行いますが、
    intel系CPUはリトルエンディアンなため、正しく読み出せるか不安
    (mdadmの再構築引数でendianは指定できるという噂ですが、内容が正しいか未検証)
  • Specが低い
    CPUが遅いのと、100Base-Tのため、転送に時間がかかりすぎます。

Synology DS218playにした理由

購入したものはSynologyのDS218playです。↓です。

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有名なところはQNAPとSynologyかと思います。ネットを見るとQNAPと互角のようです。価格と機能から趣味にあるものを選ぶ感じかと思います。ここで、DS218+ではなくDS218playにした理由は、機能の通り動画のHWエンコード機能です。
デジカメで撮影したAVCHDの動画は異常にファイルサイズが大きく、
また対応機器も少なそうなので、テレビ等でストリーミングできるよう、
HWエンコード機能付きのものを選びました。

組み立て

簡単です。ふたを開けてHDDを挿して、ネジで止めるだけです。
2ベイとも同じ容量のHDDを挿すと自動的にRAID1相当のSHRになるそうです。
ext4でフォーマットされたRAID1なのでLinuxの動くデスクトップ等に接続することでデータの読み出しが可能なようです。

取り出すとこうなってます
フタを開けます
SATAのコネクタがあります
HDDを取り付けます

パフォーマンス

アクセス速度は、今まで使っていた玄箱T4の10倍です。
技術の進歩はすごいです。 理論値の8割くらい出てますね。
流石にSSDに比べると遅いですが、古いHDDより速いです。
とくにランダムアクセスが速いです。 これは、SoCのメモリを使い、
キャッシュを構成しているのではないかと推測します。

Synology DS218play
玄人志向 Kuro-Box/T4
SSD
古いHDD

また、SoCはRealtek RTD1296で、↓にブロック図が載っていました。
大量のペリフェラルがついてるのですね。すごいです。
H.265のHWエンコーダは最初からSoCの中に入っているのですね。
www.scensmart.com/project/industry-specific-mobile-terminal-based-on-realtek-rtd1296/attachment/realtek-rtd1296/

管理画面

あよくあるhttpサーバとして動作し、webブラウザから設定を行いますが、
下のようにデスクトップのような操作画面になっており、ルータの設定画面のようなものではないです。

また、NAS機能に留まらず、各種アプリをインストールできます。
写真の一覧表示ができるweb server、DLNAサービス、各種クラウドサービスとの連携バックアップや、SynologyのDDNSを使ってこれ自体をクラウドfile serverとして使うことができます。またオーディオの再生やカメラの接続などの周辺機器も接続でき、NASというよりコンピュータです。SSHサーバを有効にすればLinuxマシンとして使うこともできます。

おわりに

NAS = ファイル共有サーバーという認識でしたが、
ただのストレージに留まらず、様々なことができるコンピュータでした。
他のサービスとも組み合わせれば、より堅牢で柔軟なファイルストレージになりそうです。

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